雑記帳

よく使うコマンド

基本的にWindowsでのコマンド。大体はMacでも共通だと思う。
パソコンについては、Macも使った上で、普及率の高いWindowsの方が結局便利だと思っている。なんで学会ではあんなにMac率が高いんだろうか…

Windows

  • Windows + L:画面ロック。離席時に必須のリテラシー。
  • Ctrl + Alt + Delete:タスクマネージャーなどを出す。なぜかたまに忘れる。
  • Windows + Shift + S:領域を指定してスクリーンショット。何かと便利。
  • ー>と打ってEnter:矢印「→」が打てる。←も同様(<ー)。
  • Ctrl + Shift + R(またはShift + F5):Google Chromeでのハード再読み込み。Webサイト更新後のページチェックはこれでやる。Shiftなしだと普通の更新。

PowerPoint (スライドショー中)

  • Ctrl + L:レーザーポインターを出す。Windows + Lを押して画面ロックしがち。なお、Windowsではポインターの色を変えられる。デフォルトは赤(HeNe)だが、緑の方が視認性が高い…?
  • 数字を打ってEnter:特定のページ番号に飛ぶ。全角入力モードだとできないので注意。
  • B:画面を黒くする。授業などで一時的に画面を消したいときに便利。なお、Wを押すと画面が真っ白になる。

illustrator

  • Ctrl + O:アウトライン化。最後にフォント情報を消すときに使う。
  • オブジェクト > アートボード > オブジェクト全体に合わせる:論文投稿などでPDFの図を提出するときに使う。
  • Altを押しながらパスファインダーで合体:個々のオブジェクトの情報を捨てずに合体できる(複合シェイプ)。

HTML

  • &lt;:<
  • &gt;:>
  • &amp;:&
  • ページ内リンクについてヘッダーサイズ分だけ(例:50 px)表示を下げる:
    a.header-shift { 
      display: block;
      padding-top: 50px;
      margin-top: -50px;
    }

日常

  • ハイフン:-
  • マイナス記号:− / ハイフン(-)より長い。打つのがしんどいので、ここからコピペする。辞書登録しても、見にくくてしんどい。
  • enダッシュ:– / 「Einstein–Stokesの式」ですごい使う。あと、論文のページ数:J. Phys. Chem. C 127 (21), 1024510252 (2023)
  • emダッシュ:— / 小洒落た英文を打つときにしか使わないので、科学的な文書を打つ際には使ってはいけない。
  • オングストローム:Å / 日本語フォントのは、Arialに変換したとき上手くいかない。
  • 摂氏温度:°C / 丸とCは別の文字。日本語フォントのは格好悪いので、使わない方が良い。
  • 芝浦カラー:深緑【DIC380 ・ CMYK:C96 M74 Y95 K0 ・ RGB:公式ではないが、当サイトでは#204C3Bにしている】

自作PC

データ解析をするにあたって、しかるべき能力を持ったパソコンは必須である。
「装置を自分で作る」を基本精神としながら市販のPCを使うのはいかがなものかということで、PCも自作をしている。
自作PCというと、「ゲーム用に!」や、「低価格で!」など研究の趣旨から外れた情報が多いので、 研究用に作ったPCの情報をまとめておく。

1号機

CPU AMD Ryzen 5 5600X
GPU ELSA RTX 3060Ti
マザーボード ASUS B550-PLUS
メモリ Crucial DDR4-3200 32 GB * 2
ストレージ1 Crucial MX500 SSD 1 TB
ストレージ2 Seagate BarraCuda HDD 6 TB
クーラー Scythe 虎徹 MarkII
電源 玄人志向 KRPW-GK750W/90+
PCケース Thermaltake Versa H26 Black

動画処理用にGPUを入れた。 書き出しがとても早くなった。
使ったことがないのでRyzenを入れてみた。
これでも、Igorで時分割データの解析をするとメモリがいっぱいになる。
教科書通りの仕様。

2号機

CPU Intel Core i7-11700K
GPU なし
マザーボード ASUS H570-PRO
メモリ Crucial DDR4-3200 32 GB * 4
ストレージ1 SAMSUNG M980 PRO SSD 1 TB
ストレージ2 Seagate BarraCuda HDD 6 TB
クーラー Scythe 虎徹 MarkII
電源 玄人志向 KRPW-GK750W/90+
PCケース Antec P7 Silent

光子到達時間記録に使うTimeHarpの制御用のPCとして製作。
TimeHarpはメモリにデータを溜めこみながらストレージに書き込むようだったので、 メモリを増やし、ストレージもM.2タイプの早そうなものにした。
データ取得時はSSDに書き込み、その後HDDに移すようにして運用。
M.2タイプだからか、SSDからHDDへのデータ移動は爆速(3 GB/sくらい)。 これでも1 Mcps程度のデータ入力が続くとデータ記録が追い付かなくなる。 画像処理は不要なのでGPUはナシ。
暗室に置くので、遮光性の高そうなPCケースを選んだ。

3号機

CPU Intel Core i5-12400
GPU なし
マザーボード ASRock B660 Pro RS
メモリ Crucial DDR4-3200 32 GB * 4
ストレージ1 Crucial P3plus SSD 1 TB
ストレージ2 Seagate BarraCuda HDD 6 TB
クーラー Scythe 虎徹 Mark3
電源 玄人志向 KRPW-AK650W/88+
PCケース Thermaltake Versa H26 Black

共用のデータ解析用PCとして製作。 メモリはしっかりと積んだ。
マザーボードは安さで選んだのでシンプル。
CPUが12世代となり、ソケットはLGA1700に。下位互換性は捨てた。
メモリはDDR5が使えるようになったが、コスパでDDR4に据え置きとした。

要旨の書き方

学会発表時には、発表内容を事前に周知するために、発表内容の要旨を提出する。
要旨を読んでから発表を聞く人もいるし、聞き終わった後に内容を思い出すために要旨を見る人もいる。
使い方は人それぞれであるが、発表において形に残る資料であり、分かりやすい要旨を書くことは重要である。
分かりやすい要旨にするために抑えるべき事項をまとめておく。

  • 指定書式はある場合は必ず守ること。
    フォントや行間などの指定がある場合は、それに従う。
    当たり前のようだが、他のWordファイルからコピー&ペーストをすると、
    書式が崩れるケースがとても多い。
    普通の理系人生を歩むのであればWordでの書式設定は最低限のリテラシーなので、
    指定書式があって意味を理解できない・直せない場合は、しっかりと調べて解決すること。
    たまに旧式の「.doc」が指定されることがあるが、これによる操作性低下のストレスにも耐性をつけましょう。
  • 諸言(Introduction)と結論(Summary)は対応させる。
    実験を進めていくにつれて、当初の目標と異なる方向に研究が発展することは多い。
    その際に、昔書いた諸言をそのまま使うと、整合性が取れなくなって、理解できなくなる。
    結論を書いて、その上で結論に対応するように諸言を書くのが基本である。
  • 上述したことを踏まえて、要旨を書く順番は、
    実験結果の図→実験結果(図の説明)→考察→結論→諸言→要約
    が基本となる。
    要約と諸言は、要旨の最初に書いてあるものの、要旨作成において要約と諸言を書くのは最後で良い。
    実験手法は、考察を考えて疲れた隙にでも、気分転換に書くのが良い。
    なお、装置開発の実験フェーズでは、実験手法がそのまま実験結果になる。
  • 要旨でほぼ全員が見るのは図であり、図を丁寧に描くのは極めて重要である。
    図の基本は、本文を読まないでも何となく何が言いたいかが分かるようにすることである。
    図を分かりやすく描くのに多くの時間を費やすことは決して無駄ではない。
    図のキャプションに加えて、必要ならば説明書きを入れても良い。
    ただし、しっかりした説明は本文に書くので、キャプション下の説明は簡潔にすること。
  • 凡例も、何を表しているか分かりやすいラベル名にする。
    大量の凡例があると当然パッと見で分かりにくくなるので、
    可能な限り最小限の混み具合にする。
    ただ、スカスカだと見栄えが悪くやる気がないように見えるので難しい。
    凡例を図中に入れるのではなく、キャプションに「〇:試料A、◇:試料B」のように書くのも一つの手法である。
  • 図は白黒印刷しても分かるような色合い・表記にするというのが基本である。
    例えば赤線と青線で区別したグラフは、白黒印刷にすると判別が難しくなる。
    そのため、片方を破線や点線にするなどの工夫が必要となる。
    プロットするときは、色だけでなくプロットの形も変えるようにする(〇、◇、△など)。
  • 要旨に入れる図の例
    要旨に入れる図の例(出典:Anal. Sci. 38 (3), 607–611 (2022))。
    PCで見ている方は、画像にカーソルを乗せると白黒で見えるようにした。
    (a)のように複数の線があるときは、可能な限り赤と黄色などでコントラストをつけたり、
    線の太さで区別するようにする。
    (c)のように点線や破線を使うのも一つの手である。
    (c)の青線は破線(dashed line, broken line)。点線(dotted line)は構成要素が点の線で、あんまり使わない。
    あと、Igorでlogプロットを破線で描いてillustratorに移すと、(c)のように破線の間隔がおかしくなる。
    実線で描いてillustratorに移し、illustrator上で破線にするべき。
    プロットの場合、(b)のように形を変え、場合によっては中を塗る/塗らないでも区別する。
    (b)は情報量が多すぎたと、若干反省している…
  • 図に関する細かい指定がある場合は別だが、
    図は「文字列の折り返し」を「四角形」にすると動かしやすい。
    加えて、キャプションもテキストボックスとして、「文字列の折り返し」を「四角形」にする。
    「文字列の折り返し」を 「行内」にすると、配置するときに制限がかかる。
    その上で、図およびキャプションのテキストボックスをグループ化しておくと、
    図の配置を変えるときに調整がしやすくなる。
    旧式の「.doc」だと、文字列の折り返しオプションが出なくてイライラしがち。
    「文字列の折り返し」を「四角形」にすると余白をはみ出して図を配置することもできるが、
    指定の余白を破るのは厳禁なので気を付けること。
  • グループ化
    画像とキャプションはグループ化する。
    「四角形」
    「文字列の折り返し」を「四角形」にする。
  • 図が完成したら、そこから分かる結果を述べる。
    結果は、図から読み取れることを基に、必要に応じて解析して導き出される事実である。
    基本的には分かることを淡々と述べる。
  • その後、その結果を基に考えられることが考察である。
    考察においては、先行研究を参考にすることが基本である。
    先行研究を一切考慮せず、自分の頭だけで考察できるようなことは、研究においてはあまりない。
    この考察が個人の腕の見せ所で、個性の出るところである。
  • 考察を基に、結論ないし今後の研究計画を書く。
    論文に投稿できるレベルに考察が深まっていれば、結論はスルスルと書ける。
    そうでない場合は、考察を要約し、何が分かったかを明確にした上で、
    逆に何が分からないかを考え、そのために何をすればよいかについて述べるのが基本となる。
  • 結論を書き終えたら、結論で分かったことを基に諸言を書く。
    基本は、結論で分かったことをXとすると、
    「Xは…のため重要ですが、…のため分かりませんでした。そこで、新しく…をすることによってXを調べます。」
    という流れである。
    まず、なぜ重要かを記さないと、「なんでそんな研究するんだ」ということになる。
    その上で、「なんでそんな重要なのに誰もやっていないんだ」という質問に答える。
    さらに、「なんであなたにはそれができるんだ」という点を説明すればよい。
    私の研究室の場合は、「ここでしか測れない装置・技術を持っているからだ」というのが王道パターンである。
    諸言では、結論で分かったことが如何に重要かを予備知識なしの読者に説明して、
    多くの読者に興味を持ってもらうのが重要である。
  • 多くの場合、要旨を短くまとめた要約も書く必要がある。
    要約は、諸言と結論をまとめて、その間に必要ならば最小限の結果・考察を入れる形で書くのが基本となる。
    要約と結論がほぼ同じ要旨も散見されるが、
    結論は要旨に書かれた様々な情報を知った上で読むことを想定されているので、
    結論だけを読むと、やや難しい専門的な内容になることが多い。
    一方で要約は、初めて読む人が最初から理解できるように書く必要があるため、
    結論よりは平易な表現でまとめることが多い。

参考文献の書き方

論文や要旨において、参考文献は必須である。
そして、説得力のある参考文献としては、Webサイトではなく書籍や論文が適切である。
学術論文は、基本的には月に何度か発行される雑誌に掲載される。
引用する際は、論文の名前に加えて、いつ、どの雑誌の何ページに掲載された、誰が書いた記事かを特定する必要がある。
よくある書き方は、

「著者名、論文名、雑誌名巻数(号数)、ページ数(発行年)」
である。
例えば、
Takashi Hiroi, Sadaki Samitsu, Kunie Ishioka, Hideaki Kano
Dynamic Raman Scattering: Molecular-selective Correlation Spectroscopy for Diffusion Dynamics in Complex Systems
J. Phys. Chem. C 127 (21), 10245–10252 (2023)
といった形である。
後述するが、もっとよく使われる省略版は
T. Hiroi et al., J. Phys. Chem. C 127, 10245 (2023)
となる。

上述した例の場合、著者はTakashi Hiroi, Sadaki Samitsu, Kunie Ishioka, Hideaki Kanoの4名で、
論文の名前がDynamic Raman Scattering...という部分となる。
この論文は、American Chemical Society(アメリカ化学会)という団体が発行しているThe Journal of Physical Chemistry Cという雑誌に掲載された。
雑誌を特定する際は、巻と号がある。
多くの場合、巻は年ごとに1増え、号は同じ巻の中で発刊されるたびに増える。
ページ数は号ごとに1から数える場合もあれば、号をまたいで巻ごとに1から振られる場合もある。
The Journal of Physical Chemistry Cの場合、(名前の変遷はあったが)1896年初刊が第1巻となっており、
基本的に毎年巻数が1ずつ増えていき、2023年では127巻となっている。
毎週発刊されていて、この論文が掲載された6/1号は2023年の21番目の発刊のため、第21号となっている。
この雑誌は号をまたいでページ数が振られるので、既にページ数が10245-10252ページという巨大なものになっている。

実際は、雑誌名・巻数・先頭ページ数があれば論文を特定できるので、
参考文献の書き方に指定がない場合は他の項目は省略しても良い。
でもいろんな論文や申請書で独自の指定があるので大変である。
この煩雑さを解消するために、文献管理ソフトが存在している。
私は大学院の時にセミナーを受けてから、EndNoteを使っている。
そのセミナーの講師は、EndNoteで音楽も管理している変態的な人だった。
場合によっては、論文それぞれに振られている番号であるDOI(Digital Object Identifier)を付す場合もある。
例えば上述の論文のDOIは10.1021/acs.jpcc.3c01824であり、
このDOIを基に https://doi.org/10.1021/acs.jpcc.3c01824 のような形で検索すると、勝手に該当論文のページに飛ばしてくれる。
また、著者名が3名以上の場合は、
Takashi Hiroi et al.
という形で、筆頭著者以外を省略して書くことも多い。
et al.は、その他という意味の"et alii"というラテン語の略である。現代でラテン語で格好つけなくても…とは思う。
著者名もイニシャル表記で、T. HiroiのようにFirst name(姓でなく名)が省略されることが多い。
海外の研究者の名前の姓・名の判断は難しいので、他の論文での引用のされ方を見て判断する。
また、雑誌名も長いので、省略して書かれることが多い。
「雑誌名 Abbreviation」で検索すると出てくるし、
Academic Acceleratorを使うと多くの場合出てくる。
The Journal of Physical Chemistry Cは、Theを入れるのが正式だが、Academic AcceleratorではTheを入れないで検索しないとヒットしなかった…
最近だと、ページ数がもはやページではなく番号になっている場合もある。
例えば、
T. Hiroi et al., Phys. Rev. A 104, 062812 (2021)
の場合、ページ数は062812である。
この時のPhys. Rev. Aの場合、06は第6号であることを、28は原子分子分野であることを示しており、その中の12番目の記事ということである。
論文自体は10ページあり、それについては062812-1~062812-10という形でページ番号が振られている。

日本語の論文の場合も同様である。例えば、
廣井 卓思
高分子のゆらぎを捉える動的光散乱法
分光研究 64 (6), 559-566 (2016)
のような形となる。
英語文献の場合、雑誌名はイタリック、巻は太字にするのが流儀だが、
いかんせん日本語のイタリックはダサいので、イタリックにしないで許されるならしないようにしたい。
日本語著者名でet al.もダサいので、省略しないで良いなら全員書きたい。

書籍の場合、一人で書いている場合と複数人で書いている場合で異なる。
一人で書いているときは、
「著者名、書籍名、出版社(発行年)」
となる。例えば、
Peter F. Drucker, Management: Tasks, Responsibilities, Practices, Harper Business (1993)
岩崎 夏海、もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら、 新潮社 (2015)
のような形となる。特定のページを引用する場合はページ数を加える。
複数人で書いた書籍の場合は、まとめる人(編者)と書いた人(著者)に分かれる。
編者が著者を兼ねることもある(編著者)。
著者が多い場合は、編者だけ書くこともある。例えば、
山内 薫 編
山内 薫、廣井 卓思、深堀 信一、沖野 友哉、歸家 令果、安藤 俊明、山田 佳奈、Erik Lötstedt、加藤 毅、岩崎 純史 著
強光子場分子科学、朝倉書店 (2022)
のような形だが、書籍の特定という意味では著者を省略する場合もある。

文献は色々な形があるので、ルール決めはとても難しい。
ただ、基本の書き方について理解しておくことは重要である。

口頭発表の基本

研究成果の報告の形として、パワーポイントを用いた口頭発表がある。
卒論発表や修論発表は避けて通れない道であるし、
成果がまとまったときには学会において発表することになる。
人によって色々な流儀があると思うが、ここでは廣井の流儀(色々プレゼンして最適化した考え)を例として紹介する。

パワーポイントの作成

  • 1スライド=約1分として、スライドの枚数を決める。
    1ページ目の表紙は除いて数えても良いが、例えば10分の発表ならスライドは10枚にするのが原則である。
    これより枚数が少ないなら、1ページに情報を詰めすぎである。
    これより枚数が多いなら、内容過多なので話すことを削る。
    個々の内容を少しずつ削る方式だと、まんべんなく伝わらなくなるので、トピック単位で削るべきである。
  • スライドのサイズは、大きく分けて4:3と16:9(ワイド)の二種類がある。
    PowerPointの標準設定は16:9となっているが、4:3の方が古くから使われている規格であり、
    印刷しやすかったり多くのプロジェクターと親和性が高かったりして都合の良いことが多い。
    迷ったら4:3にしておくと良い。
    私は今まで4:3で作り続けているので、可能な限り4:3のまま走り抜けたい。
  • 基本は日本語をゴシック体・英語をサンセリフ体とする。明朝体・セリフ体は避ける。
    これは視認性の問題で、遠くからスライドを読む際はゴシック体・サンセリフ体の方が優位である。
    具体的には、日本語は游ゴシック、英語はArialにしておけば間違いない。
    游ゴシックはWindowsでもMacでも使える所がよい。
    私はMac時代に小塚ゴシックを好んでいたが、Windowsに戻ってからフォントエラーでしんどかった。
  • 文章はなるべく少なくする。どうせ読まれない。
    「〇〇のため、△△する。」みたいに書くなら、「〇〇が問題(改行)→△△が必要」みたいにして、
    個々の文のつながりが目で見て直感的に分かるようにする。
  • 文章は改行しない程度の短さに抑えるのが理想的だが、
    文章の改行が必要なときは、文節で改行する。
    単語の途中で改
    行すると、とて
    も読みにくい。
  • 1ページ目はタイトル。
    右上に学会や研究会の名前・開催場所・発表番号・日付を入れておくと親切。
  • 15分以下のプレゼンの場合は、「本日の発表内容」のような目次スライドは不要と考えている。
    つまり、15分間までは流れるように説明できるよう努めている。
  • 各スライドの上部にはタイトル(=そのページをまとめる一文)を、下部には次のページにつながる一文を入れる。
    上部と下部の文章を読むだけで何となく言いたいことが伝わるのが理想だと思っている。
    改めて自分のスライドを見ると、上部に単語を、下部にそのページのまとめを入れることも多く、多分良くないなぁと思い直している。
  • フォントサイズは、上部32 pt、下部24 pt、本文20 ptを基本としている。
    加えて、上部・下部は太字にして、本文で強調する部分は太字にすることが多い。
    スライドで最も重要なところは赤字+太字をよく使う。
    強調したいところのフォントサイズを大きくするのも手段としてはあるが、なんかダサい気がする。
    これより小さいと読むのがしんどいという意見が出てくる。
    逆に参考文献は、書いてあれば読まなくても良いので小さくても良い(12 ptくらいにしている)。
  • 装飾は太字や色変え以外に下線、イタリックもあるが、強調の仕方を複数用意するのは無意味なので避ける。
    太さも二種類に抑えて、はっきりと分かるくらい違いのある太さとする。
    例えば、同じスライドで太字のところと下線のところが混在していると、何か意味があると考えてしまう。
    意味があるのかもしれないが、意味が一瞬で伝わらないならば、それはプレゼンにとっては無意味である。
  • アニメーションをどの程度付けるかは人によるが、個人的にはアニメーション肯定派である。
    昔、自分のスライドを見せたら指導教官に「超アニメ」と言われた。
    文字だけのスライドを1分間集中して聞かせ続けるのは難しい。
    全部の文章をいちいちアニメーションで出すのは不快になるが、
    例えばスライド内で「今まで」→「今回の提案」のようにブロックが分かれている場合は、
    「今回の提案」ブロックをアニメーションで後から出す、といった工夫は良いと思う。
  • 最後のページはまとめになるが、質問時間に表示されることになるので、ある程度文章で書いても良い。
    プレゼンを端的にまとめた図(Graphical Abstract)を用意できると美しい。

発表スライドの例
発表スライド準備の例(PowerPointでの編集画面の切り取り) 。
背景の装飾については、個性が出るところなので何でも良いと思うが、
あんまり派手にしない方が無難である(私は昔ド派手だった)。
原稿内にある☆マークは、「ここでEnterボタンを押してアニメーションを進める」という自分用の合図である。
ちなみに、分子振動はgifアニメーションで動くようにしてある。

発表練習

  • 学会において、学生の方が偉い先生よりプレゼンがうまいと感じることが少なくない。
    それは、練習量の違いであると思う。
    練習が明確に発表の質に反映される。
  • 可能な限り、発表原稿は用意した方が良い。
    原稿を読むようなプレゼンは良くないが、自分で用意したプレゼンを見て考えながら発表しても、常人では伝わりやすい説明にはならない。
    話す内容を原稿に起こすと、説明の足りない部分が分かるし、プレゼン資料の過不足も分かる。
    一度ちゃんと作れば、後々同じ内容で話すときもスムーズに話せる。
    私はパワーポイントのノートに書いている。
  • パワーポイントの発表者ツールを使うと、発表しながら原稿も確認できる。
    ただし、ただ読むだけだと、伝わるような抑揚を付けるのが難しい。
    (その技術を持ったスペシャリストがアナウンサーだと思っている。)
    話す内容は全て頭に入れて、原稿の内容を覚えた上で自分の言葉で話せるようになるまで練習する。
    理想的には、1週間前にスライドと話す内容を固めて、毎日練習していくのが良い。
  • ノートに一字一句書く必要はなくて、要点だけを書けば良い。
    …と昔は思っていたが、どうせ書くなら一字一句書いて悪いことはないと思い直して今に至る。
    特に英語の場合は(過度に気にしないでよいと思うが)文法も確認できる。
    書いてから練習して、特にあやふやになる部分はノート上で太字にしておくと、
    発表時にチラ見してスムーズに話しやすくなる。
    (本当は文字色も変更したいが、発表者ツールでは文字色は反映されないようである。)
  • スライドの文章と同様に、話す際も一文は短い方が聞きやすい。
    英語の場合も、複雑な構文は使わずに、頭から聞いてすっと入るような単純な文章にすべきである。
    また、文章間のつながりが分かるように、可能ならば文頭に接続詞を入れることをおススメする。
    たとえば、「しかし」と言われたら、その前の文章は重要でなく、これから話すことの方が重要なんだなと判断できる。
  • 最後のスライドのはまとめになることが多いが、
    その文章をただ読むというのは時間の無駄なので避ける。
    説明するならば、要約して話すべきである。
    まとめの内容は、プレゼンがしっかりしていれば聴衆が理解していることの繰り返しとなるので、
    「以上、まとめです。ご清聴ありがとうございました。」だけで締めても良いと思う。
    (これについては結構議論が分かれる気がするが、あくまで個人的な意見である。)
  • 私は事前に各スライドでかかる時間を5秒刻みで決めて、ノートの頭にメモしている。
    流れとしては、
    1. スライドと原稿を自由に作る。
    2. 原稿通りにしゃべってみる。
    3. Excelに各スライドで使った時間を書き出す。
    4. 指定時間に合うように、優先順位の低い部分(話す内容、時にスライドごと)を削る。
    これを何度か繰り返して最適化していく。
    正直、こんなやらんでもいいかと思うときもあるが、やっていけば確実に上手くなる。
    「怠惰を求めて勤勉に行き着く」だと思っている。
    「以上で発表を終わります。」で時間終了の鐘がなったら、ちょっと格好いいでしょう?

質問への返答

  • 質問に淀みなく答えるために最も重要なのは、日々の学習である。
    質疑応答の不安を解消するためには、自信がつくまで勉強するのが一番である。
    発表は練習でどうにかなるところもあるが、質疑応答への対策は短期間では不可能である。
  • 理想的には、質問の余地もないほどのプレゼンをするのが良い。
    ただ、今までに見た質問の余地もないほどのプレゼンというのは、内容がスカスカのプレゼンである。
    色々と創意工夫したプレゼンを多くの人に聞いてもらえば、質問は湧いてくるものである。
  • 発表スライドに限らず様々な場面で共通することとして、
    理解していないことは書かない・話さないという点を注意すべきである。
    見た目が良くなるからと言って、「理解していない論文の一部を引っ張って読むだけ」みたいなことをすると、
    発表の中でその部分だけ浮いて、質問されることが多くなる。
    そして、聞かれても理解していないので、自分の言葉で話せず停止することになる。
    身の丈に合ったことを発表するのが、虚勢を張るよりもはるかに立派である。
  • プレゼンを作る場面で、時間的制約により入れ込めない内容については、
    中途半端にプレゼンに残すと質問に挙がってくる可能性が高い。
    これを利用して質問内容を誘導するという技術もあるが、やや反則かと思う。
    ただ、入れ込めなかった内容については補助スライドとして用意しておき、
    質問されたときにスライドを見せながら説明できると良い。
  • PowerPointの発表者ツールで発表を行う場合、
    補助スライドは発表スライドの最後のページ以降に用意しておき、
    出すときは補助スライドのページ数を打ってEnterを押すと飛べる。
    一回発表者ツールを抜けたり、EnterやBack spaceを連打してページを移動するのは時間がかかる(し、格好悪い)。
  • 質問への返答で最も重要なのは、最初の一言である。
    だらだら前置きを話した上で結論を言ってもピンとこないので、
    最初に結論を述べて、その上で説明を続けるのが良い。
  • 「…ということですか?」「…ということはないのですか?」というような、
    「はい」「いいえ」で答える系の質問については、まず「はい」「いいえ」で答える。
    選択肢は、
    • 「そうです/あります」
    • 「どちらの場合もあり得ます」
    • 「違います/ありません」
    に絞るのがよい。
    その上で、正しいならば説明の補足を、
    誤りならば誤解されている点を説明する。
    どちらもある場合には、二つを説明する。
  • 質問への返答の基本は、「聞かれたことにだけ答える」ということである。
    わざわざ墓穴を堀りに行く必要はない。
    ただし、ステップアップを目指すのであれば、
    • 「基本的にはそうです/あります」
    • 「基本的には違います/ありません」
    と回答し、基本を話した上で例外を話すのが良い。
    質問者の理解度を組み取った上で、さらに理解を促進させるという技術である。
  • 「なぜですか?」「どのようにですか?」というような、
    いわゆる5W1H(When, Where, Who, What, Why, How)系の質問の場合、
    だらだらと答えてしまうことが多くなるが、
    この場合も先に結論を言って、その後に順を追って説明をして、最後に結論を繰り返すのが良い。
    そもそも分からないから質問しているのに、ゴールが見えていない状態で回答されると、理解に困ることが多い。
  • 回答に関して、自分のターンは30秒程度で終わらせるのが良い。
    スライドなしで30秒以上口頭で話されると、理解するのが難しくなる。
    逆に言うと、30秒で答えられないような質問の場合は、問題を切り分けて再度不明点を聞く方が良い。
  • 上手くできなくても良いので、諦めずに考えて回答することを心掛ける。
    準備不足や不勉強は良くないが、しっかり練習して臨んだ発表の場であれば、
    自信を持って質疑応答に臨めばよい。
    たまに笑ってくる質問者がいるが、そんな不愉快な態度の人は無視して良い。

メールの書き方

外部とのやり取りは、基本的にメールでやり取りする。
メールの基本的な書き方をまとめる。

  • 一行目は宛名。基本は〇〇様。教員に出すときは〇〇先生。
    分野によっては教員をさん付けするが、化学系ならとりあえず先生。
    「〇〇教授」は宛名には不適(先生は敬称だが、教授は単なる職名)。
    団体に出す場合は、基本は担当者に個人名で送るが、
    不明な場合は「御中」で出す。
  • 一行空けて最初は「いつもお世話になっております。〇〇(所属)の△△(名前)です。」や、
    「初めて連絡させていただきます。〇〇の△△と申します。」から始める。
  • 要件を書く。短い方が良い。
    長くなりそうな場合は、箇条書きにすることをお勧めする。
  • 文末は大抵「よろしくお願いいたします。」になる。
    個人的なよろしく丁寧ランキングは、
    「よろしくお願いします。」
    「よろしくお願いいたします。」
    「何卒よろしくお願い申し上げます。」
    となっている。
    何を「よろしく」なんだ、とはいつも思う。
  • 最後に名前を書いた上で署名を入れる。
    署名を入れるほどではない場合も、名前は必ず入れる。
    署名は名前・所属・連絡先(メールアドレス)があれば良い。

Webサイトの作り方

中学生のときにWebサイトを作って遊んでいたが、
20年程経ってWebサイトを立ち上げようとしたら大分様相が変わっていた(2023年)。
きっとまた大きく様相が変わっていくんだろう。
忘れないようにメモ。

  • htmlとCSSを使って書くところは変わっていない。
    ただ、どちらもとっても進化している。
  • JavaScriptも当時から健在だが、jQueryというパッケージが良く使われるらしい。
    何となくhtmlとCSSだけで書いた方が軽くて快適そうなので、
    使用は最低限に留めようと思う。
  • フレームを使ったWebサイトなんてなくなってしまった。
    阿部寛のホームページくらいか。
  • iモード用のWebサイトの勉強をして作った記憶があるが、
    今はレスポンシブデザインという手法が主流となっていた。賢い。
  • CGIで掲示板を作るというのが当時の定石だったのに、CGIってどこに行ったんだ…?
  • 英語化については、別のページを作らないといけないようだ。
    自動翻訳が発達したら、いつか英語ページを独立に作らなくても良くなると信じている。
    でもまだそんな時代は来ていないので、英語版を作らなければ…